« 2011年3月 | トップページ | 2011年8月 »

2011年6月 4日 (土)

『津軽音調 今昔様式(つがるのしらべ こんじゃくのありさま)』

開幕2分前、影アナウンスに続き本ベル。
 
緞帳前にて、私の口上挨拶。
 
拍子木が入り。
舞台客席共に、少しずつゆっくり暗くなる。
吹雪の音がする。

真っ暗闇から舞台に雪景色と津軽の屋敷の二景が現れる。
客席通路から高まる吹雪の中を、女に手をひかれた
年老いたぼさま(坊様、盲目の門付け芸人。)がゆっくり歩いて来る。
二人とも笠をかぶっている。
 
舞台下手の雪景色の津軽野にぼさま上がると、
ぼさまは疲れはてて腰を降ろす。
今日はあぶれて、銭ももらえず食事もしていない。
泊まるところもないのだ。やがてぼさまは三味線を手に、弾きはじめる。
 
『津軽じょんから節旧節』
 
060401
 
 
ぼさまの音色が、吹雪の音と重なり合う。
舞台上手の庄屋さまの屋敷では、津軽民謡団「山田千里一行一座」の演奏。
紋付き袴の若い三味線弾きが『津軽じょんから節新節』の前弾きが始まる。
 
060402
 
 
「待ってました!」観客からの掛け声。
やがて前弾きに続いて太鼓、唄になる。
華やかな衣装の唄い手、声量豊かに唄う。
唄い終わると、唄い手の津軽弁のお話し。
「もう一曲!」
 
『津軽甚句』 のにぎやかさ。
 
曲が終わると舞台は一転。
暗い座敷には琴、琴の前に黒紋付き姿の女性。
 
『六段』
 
寒く暗く寂しい津軽の冬のイメージ。
舞台下手雪野原では、ぼさまが『津軽音頭』を弾いている。
むせび泣くような三味線の音色が雪景色にしみていく。
ぼさまは続けて『あいや節』を弾く。
あいや節の途中、さっき屋敷の中で弾いていた若い三味線弾きが、
笠をかぶりぼさまのとなりで一緒にあいや節を弾き始める。
また雪が降りはじめた。
 
二人は『津軽じょんから節曲弾き』で掛け合う。

曲の盛り上がりと呼応するかのように、雪が猛烈に降ってくる。
やがて二人は弾き終わる。
二人は笠を持ち上げ、舞い散る雪空を見上げる。
 
060403
 
 
緞帳がおりる。
 
『津軽音調 今昔様式(つがるのしらべ こんじゃくのありさま)』
第一部(むかしのありさま)の終演。

| | コメント (2)

2011年6月 3日 (金)

『コンサート前日。』

今日は朝から明日のコンサートの仕込みとリハーサル。
朝、目が覚めたらスタッフから電話。
「大変です。搬入口に救急車が来てます。」

舞台美術の方が搬入口から落ちた。
今回のコンサートの舞台美術は、製作日数約半年をかけた大作なのだ。
搬入も三回に分けてしなければならない。
きっとそれで気が急いたのか。
私も急ぎ会館へ向かう。
会館に着くとすでに救急車も行ったあとで、みんなは黙々と
舞台美術の吊りにかかっていた。

私がおろおろしてはならない。
まるで何にもなかったかのように、皆さんに挨拶をする。

『落ちた美術の方のためにも、いいコンサートにしなければ。
半年もかけて作った作品を、最善の状態でお客さまに見せなければ。
それが一番、美術の方が喜ぶはずだ。』
心の中で繰り返しささやきながら、皆さんににこやかに挨拶。

お昼過ぎ、病院から大事には至らず検査のために入院との連絡が入る。
そして『ぜひとも、コンサートを成功させてください。』との伝言を受けとる。

「よし!」
力がみなぎる。
二部の美術の吊りは予想外に時間がかかる。なにしろ大きい。
 
 
060301
 
 
 
一部二部の美術と照明ができたのはすでに3時過ぎ、
それから照明音響の手順確認、場当たり。
スタッフの皆さん、食事休みの時間も取らずに動いている。
舞台はだんだん形になってきた。
 
明日のお客さま方の拍手喝采の喜ぶ顔、「うわー!」という歓声が、
目に浮かんできた。
 
きっと明日は、いいコンサートになるにちがいない。

| | コメント (2)

« 2011年3月 | トップページ | 2011年8月 »