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2010年7月10日 (土)

『俺が生き残っている理由。』

鎌形さんが亡くなった。脳腫瘍で。まだ60才なのに。
 
鎌形さんは今から14年前、友人の結婚式でした。
私の演奏をきいて『すごいsign03すごいsign03』と、私に話しかけてきた。

それ以来、色々なところに私の演奏を紹介してくれた。
そして毎年年末には、鎌形さん自宅アトリエ虎の穴で行われる
『虎の穴コンサート』。

鎌形さんは新聞事業家であるとともに、画家でもあった。
アトリエ虎の穴には、鎌形さんの作品が多数かけてある。
特に裸婦がいい。
鎌形さんはスケベな人なんだなぁと思った。とても純粋な人だった。
 
 
今夜はお通夜。
お坊様のお経の中、参列者の焼香が始まる。
お香の煙りの中に鎌形さんとの思い出が、次から次へと浮かんでは消える。
 
 
奥様は静かに哀しみを消して、参列者にお辞儀をしている。
奥様も涙をこらえているのだから。
歯をくいしばる。
通夜が終わり、奥様に挨拶に行く。
 
 
『鎌形は入院中、通弘さんの三味線をCDで、繰り返し
繰り返し聴いていました。亡くなる前まで。』
 
 
それまで平静を保っていた、奥様の目には涙が溢れた。
一言も返すことも出来ずに、ただ頭を下げる。
 
 
その後、友人知人達と話しをしたが、あまり覚えてない。
ふらふらと駐車場に。
 
 
その間中、『お前は何の為に生き残った?三味線を弾く為じゃないのか。
ただただ三味線を弾く為に生きているんだろぅ?』そうゆう鎌形さんの声が、
頭の中にわんわん響く。
 
 
車の中で、堰が切れたようになる。
しばらくは、車を出すことが出来なかった。

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