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2010年2月 1日 (月)

『苦しかった日々に。』

昨年は秋から、手首、足くるぶし、両膝が順番にはれて立ち上がることも
出来ず、寝たきりでただただ痛みに耐える日々が続きました。

その間は演奏もすることが出来ず、多くの方々に大変なご迷惑をおかけしました。

毎日毎日、いったいいつになったら良くなるのかわからない、先の見えない
不安な日々の中で。普通に立って歩けることの幸せを、三味線が弾けることの
有り難さを、つくづく思い知らされた日々でした。

『私には三味線を弾くことしか出来ないんだ。三味線を弾くことだけが、
私の生きている意味があるんだ。』と、あらためて感じました。

その三ヶ月間、激痛と鎮痛剤の副作用に耐えながらも、またの再起のために
いろいろな音楽を聞いていました。タブラ奏者の吉見さんの師匠、アララカ師の
CDを二枚、お弟子さんが見つけてきてくれました。
二枚とも素晴らしいCDでしたが、三男のトーフィックさんのCDが特に感動しました。

二曲めに入っている、アララカ師の歌(タブラの口真似。)が凄かったからです。
ご高齢とは思えない速さと、伸びやかで大間なリズムの確かさ、
声のおおらかな暖かさ。

その時の私の冷えきった心の中に、暖かいものが流れ込んで行くように感じました。
そしてひとりでに、涙があふれてきました。

『このレコーディングは、親子兄弟4人での最初で最後のレコーディングだった。
レコーディングの2日後、アララカ師は亡くなった。』とライナーノーツに書いてありました。

これを読んで、ふたたび涙があふれて来ました。

人生の終わりの2日前に、これだけの凄い演奏が出来るのか。私もこうありたい。
そして、このような素晴らしい演奏に近づきたい。そう心から思いました。

『よーし!』涙だらけの顔で私は誓いました。

『私はこの世を去る前日まで演奏をするんだ。それも私の生涯の演奏の中で、
もっとも素晴らし演奏を。』


020100

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