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2009年1月25日 (日)

『一つ一つが、一度きりの演奏。』

今日は立川の高齢福祉施設でのコンサート。
この施設では月に一回、いろいろな音楽家を招いて
コンサートを開いているそうです。

お客様は施設の方以外にも、ご近所にお住まいの方々もいらっしゃいます。
会場に着くと舞台や音響のチェックをしてから、弟子の星野君と
施設の食堂のお昼をいただきました。

開演時間が近づき紋付き袴に着替えていると、
『もうお客様がいっぱいです。こんなにたくさんのお客様が入ったこと、
今までありませんでしたよ。』とのこと。
とても嬉しくて、なんか気分が上向いて来ました。

演奏中は演奏に集中出来て、あっという間にプログラムが
終わってしまいました。施設の方々もご近所の方々も、会場で
一つになり私の演奏もお話しも、食い入るように聞いてくださいました。

楽屋で着替えていますと、何人かのお客様が楽屋を訪ねてくださいました。
その中の一人の方が、昔のソロCD『ジョンカラ』を私に見せて、
「10年前に佐藤さんのコンサート行って、サインしてもらったCDです。」
「今日もサインしてもらえますか?。」と、おっしゃいました。
私がサインさせていただいている間にされた、その方のお話しが胸にしみました。

「10年前コンサートには妻と母親と三人で、一番前で見たんですよ。
でもその妻は三年前に亡くなりました。妻とはいつも『佐藤さんの三味線の演奏、
よかったね。』と、話していましたので、妻の葬式では佐藤さんのこのCDを流して
妻を送ったんです。昨年母親も亡くなり、今では一人暮らしです。」
「今日も一番前の席でコンサートを聞きました。10年前に三人で行った佐藤さんの
コンサートが、昨日のように思い出されて、涙が止まりませんでした。」
奥様とお母様と三人で来てくださった一度のコンサート。
この三人の方達にとって、たった一度きりのコンサートが生涯の思い出に
なったのです。とてもありがたいことだと思いました。
そしてまた、私にとっては年に何十回するコンサートでも、お客様にとっては
とても大切な一度きりのコンサートになるかもしれない。

『一つ一つの演奏が、お客様にとっても私にとっても、一生に一度しかない
大切な演奏なのだ。』と、思ったのです。

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