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2009年1月 1日 (木)

「お正月のめでたさよ。」

お正月のめでたさとは、『終わり無き世のめでたさに。』と、
歌にもあるように。
時に終わりが無いことを祝うめでたさなのでしょうか?

作家山本七平さんの書いた本の中で、第二次世界大戦中
召集された山本さんが、フィリピンへ向かう輸送船の甲板から
真っ赤な夕陽を見た時、『この夕陽がずっと沈まないでほしい。』と
願ったそうです。
敵潜水艦がうようよいるバシー海峡で、いつ輸送船が
沈められるかわからない。

そのような時だから『どうかこの太陽を、明日も見ることができますように。』と、
思ったのです。イースター島のモアイ象も、古代人がやはり同じように
『明日も太陽が上がりますように。』と願って作ったのだという話しを
聞いたことがあります。

時の流れの永遠。それがありがたく、めでたいのでしょうか?

早朝、通芳から電話あり。『特急踊り子号の自由席は何号車なの?
車内販売はある?』。今日通芳は、伊豆のリゾートマンションの
ラウンジライブ演奏に行ったのです。かつては、私と二人で行った旅でした。
このリゾートマンションでの1月1日の演奏は、私が20年近く前からさせて
いただいた仕事です。
通芳が中学三年生の時に、初めて通芳をこの演奏に連れて行きました。
演奏前レストランで二人、食事をごちそうになっている時、『三味線ひきはいいぞぅ。
いろんなところに行けて、おいしいものは食べれるし。女の子にはもてるし。
おまえも三味線ひきになるか?』 と、私は通芳に言ったのです。
そして『もし三味線ひきになるなら、ここの演奏の仕事はおまえにあげるぞ。』と
言うと、通芳はなんと目を輝かせて大きくうなづいたのでした。

その後この1月1日の演奏には、二人で四回行きました。
そして前回からは通芳一人で行くようになったのです。

何年も何回も演奏させていただいた場所に行かなくなるのは、とてもさみしいものです。
ましてここの演奏は、20年近くも通っていたところです。でも不思議と、今回は
寂しさを感じないのです。
通芳が演奏することによって、通芳を通してこの演奏とお客様を私も
感じることが出来るような気がするのです。
そして毎年私の三味線を楽しみにしていただいたお客様達も、通芳を
通して私をも感じてくださるのではないかと思えるのです。

もうすぐ8時。あちらでは開演の時間です。
所長の新年の挨拶のあと通芳が紹介されます。
紋付き袴姿の通芳がスポットライトの中に登場。それを拍手で迎えるお客様達。
すべて私には、まるで見えるようにうかんでくるのです。

永遠に続く時の流れ。なんとめでたいことなのでしょう。

新年 明けましておめでとうございます。 元旦。

佐藤 通弘


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