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2006年9月 5日 (火)

「英国総督邸にて」

12日間のオーストラリア演奏旅行、おかげ様にて、無事に終えて帰国することができました。
今回の演奏旅行もまた、私にとって忘れることのできない旅のひとつとなりました。

その中で印象に残ったのは、英国総督邸にての演奏会でした。
なん百年も前にたてられたという、重厚な煉瓦造りの総督邸は。見晴らしの良い丘の上で、芝生と咲き誇る花の中にありました。私達が大きな車寄せに到着すると、執事がにこやかに出迎えて下さいました。総督邸は建物もお庭もとてもひろく、二階や三階のテラスはまるで映画のセットに出てくる、英国のお屋敷そのものです。演奏者もスタッフも国際交流基金の方々も、みんなで写真を撮りました。私達の演奏は邸内のホールでさせていただきました。お客様は120名くらい。日本の総領事夫妻をはじめとする在ブリスベンの日本の方々と、英国総督をはじめとした英国、オーストラリアの 日豪交流の関係する方々でした。演奏が終わると総督が拍手をしながら立ち上がって下さり、それに続くように他のお客様も立ち上がって下さいました。

演奏の後には、大きなエリザベス女王の肖像画のあるお部屋に招かれ、飲み物をいただきながら総督閣下と懇談させていただきました。暖かいおもてなしの心遣いに、私達は皆感激いたしました。演奏家をしていてよかったなぁ、と思いました。

オーストラリアはまだ形式は英国の植民地です。ですから英国から派遣された英国の総督がいるわけです。そのへんの事情を現地の方に伺ってみました。オーストラリアの現状はもうほとんど独立国です。しかし昔からの大英帝国の一国という形は残している。このままの形を残して大英帝国のなかの一国でいるか、それとも形式的にも完全に独立をするのか、国民投票が行われたそうです。すると僅差で大英帝国の一国にとどまることになったそうです。ただ、むかしながらに英国王室を敬愛するお年よりのような人々がこの先減って、また次回国民投票が行われた時には独立になる可能性が高いそうです。

私はとても感心しました。一つは、国の大きな分かれ道を決める時に、国民投票をして国民に直接に決めさせたこと。そして僅差であったにもかかわらず国民投票の後は整然とその決定に従ったこと。 またもう一つは、少しの戦争も紛争もせずに、ひとりの犠牲者も出さずに独立することが出来るということ。なんて素晴らしいことなんだろう、と思いました。戦争や紛争を起こして、憎しみの連鎖を繰り返すよりも。お互いの尊敬や親しみを持ったまま、お互いを認めあうことが出来る。これは百万の軍隊を持つより力強く国を守ることではないだろうか。と思いました。

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