« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2006年7月24日 (月)

「長いお付きあい」

一昨日から私は福島県に来ています。
一昨日は郡山の商工会議所会館で演奏。昨夜はいわき市音楽館で
演奏しました。この催しを主催していますのは「縄文ソウルの会」という、
いわき市の高校教師である新妻先生を中心とした会員の皆様です。

この会は1月と7月の年二回行われ。今回は第39回、20年目の演奏会
でありました。毎回、他では見ることの出来ないコラボレーションや、
異色のアーティストを見せてくれます。
私はこの会の、三上寛さんに続いて二番目の最多出演者ではないか
と思います。

新妻先生にお会いしたのは、もう30年近くも前のことです。
新妻先生が新聞に載った私を見て、わざわざ東京まで会いに来て下さ
ったのです。新宿花園神社のそばの飲み屋で、お酒を酌みかわしました。
すぐ隣で、今は亡きたこ八郎さんが酔い潰れていました。
それから今まで、何回福島に呼んでいただいたことか。最初は私も20代
でありました。縄文ソウルの会の方々もやはり、その頃は若かった方も
今はそれなりにお年を召されて。
私はいつもこちらに来るたびに、演奏やお酒を飲むのに夢中で、何も考え
てはいませんでしたが。思えば不思議なものです。
会の皆さんといろんな所で演奏会をして、打ち上げ会で飲んで。
それを繰り返しいるうちにいつのまにか時が過ぎて、お互い年齢を重ねて
いました。今思えば、何か浦島太郎のような感じがします。

前に私は、演奏会は一期一会と書きましたが、この会ははそうではなく。
長い長い年月、会の方々と共に人生の旅を続けているような感覚がする
のです。

来年は「縄文ソウルの会」21年目、40回を迎えます。
新妻先生をはじめとした縄文ソウルの会の皆様のご健康と、会のさらなる
発展を、心よりお祈りする次第であります。

通弘

|

2006年7月 7日 (金)

「さすらいの街」

私は今、札幌駅の駅ビルの中の小さな喫茶店にいます。30分後に出発する
夜行列車で上野に向かいます。窓の外は、買い物客が次から次へと通り過
ぎてゆきます。
とある街でひとり、長くもなく短くもない時間をぼんやり過ごしている時に、ふと
湧きあがる不思議な感覚があります。
「私は何処から来て何処に行くのだろうか。私はいったい誰なんだろう。ここは
何処なんだろうか。」と、なにか訳がわからない感覚におそわれるのです。

昔、大阪に10日あまり滞在していた時、昼間あいている時間に、ぶらぶら大阪
駅の近くを徘徊しました。大阪駅の駅ビルに中をただ意味もなく歩いていると、
階段の途中に小さな扉があります。その扉を中へ入って行くと、狭い通路の両
側に、昭和時代を思わせるような小さな縄のれんの飲み屋や、古い喫茶店など
があります。そしてさらに奥に行くと通路はますます狭くなり、人がひとりやっと
歩けるぐらいの幅になりました。
このまま行けば、「もう二度とこの迷路のような所から抜け出られなくなってしま
うのではないか。」と思いながらも、さらに進むと。やがてまた小さな扉があり、
そこを出ると突然まぶしいくらい広い、駅のコンコースに出るのでした。

とても不思議な場所でした。

まるで筒井康隆のSFの世界です。

私はここを密かに「レトロな未来都市」と呼んでいました。大阪に滞在するたび、
私はこの「レトロな未来都市」をひとり徘徊するのを楽しみにしていました。
ここで私はやはり、ひとり不思議な感覚におそわれるのでした。
根無し草のようにふわふわ漂うような漂泊感。「私は何処から来て何処に行くの
だろうか。私はいったい誰なんだろう。ここは何処なんだろうか。」。

海外演奏旅行の時、ひとりヨーロッパの見知らぬ街をさまよっている時にも、この
ような感覚におそわれることがあります。この不思議な漂泊感。これもまたひとつ
の旅なのでしょうか。

さて、そろそろ夜行列車がホームに入ってくる時間です。重い荷物と三味線を持っ
て、改札口に向かおうと思います。

通弘

|

2006年7月 5日 (水)

「大いなる北海道」

一昨日から札幌に来ています。
空港降り立ったとたんに、爽やかな風がサァ~と吹いて。なんと北海道の空気の
清浄なこと。今までいた九州、東京に比べて気温も低いのですが、湿度も低く、
からっと晴れてその気持ちのいいこと。
私の体調も、飛行機を降りたとたんに良くなったような気がしました。

昨日は札幌の郊外にある、西野神社で演奏させていただきました。
作家の植田莫先生が中心になり演奏会を企画して下さいました。植田莫先生は
私のCD「月も凍る夜に」と「東北ロマン」のジャケット絵をお書きになった先生です。

そして今日の会場は、札幌の郊外江別にある、米村牧場のゲストハウスが会場です。
どこまでも続く広大な牧草地の中に米村牧場があります。野幌駅前のコーヒー店の
ご主人と奥さま。米村牧場のご夫妻。地元の婦人会の方々。皆さんで演奏会を
運営して下さいました。どちらも会場いっぱいのお客様。お客様には窮屈な思いを
させてしまいました。でもどのお客様も、とっても暖かいんです。
演奏しているとほのぼのとして、心がぽかぽかしてくるのです。

終演後、皆さんの持ちよりのご馳走で小宴会です。
コーヒー店のご主人は入れたてのコーヒーを。米村さんご夫妻は、しぼりたての暖かい
牛乳と手作りケーキ。他の牧場の奥様は、自分の牧場の牛乳で作ったヨーグルト。
婦人会の方々は今日の夕方にもいだ、とりたてのトマト。などなど。
演奏から打ち上げ会まで、本当に暖かい会でした。
皆さんと、いろいろなお話しをいたしました。北海道人の気質を、ある方が「普段は何気
無く、お互いに深く入り込むこともなく。詮索することもなく。楽しくお付き合いをしてい
る。しかしもし人が困って、助けてほしいことが起こった時には、みんなでさぁーと来て
黙って助けてくれる。それが北海道人の気質です。」とおっしゃっていました。

雄大なる大地。
豊かな食物。
おおらかで、いたわり合い助け合う気質。

大いなる北海道。

200607051542000

なんか北海道に、移り住みたくなりました。

通弘 http://www.tsugaru-michihiro.com

|

2006年7月 2日 (日)

「一期一会」

今日は九州久留米から電車で20分、大刀洗町のドリームホールで演奏です。
前日久留米のホテルに泊まり、西鉄電車に乗り大刀洗町に向かいます。
途中単線の線路を二両編成の電車は、ゆっくりゆっくり左右に揺れながら、平坦な
田園の中を行きます。

ドリームホールでは満員のお客様。
今日は大刀洗町の、人権問題についてのイベントのひとつとしての公演です。

私と通芳の二人で2時間20分、お話しと演奏をさせていただきました。
「人に非ず」とされていた、昔の津軽の芸人達の悲哀を。私の経験と先輩達から
聞いたことから、お話しをいたしました。国や思想信条、宗教や職業人種、
肌の色の違いなどから起こる差別や偏見が、世界中から無くなりますように、
ただただ祈るばかりです。

今日のような、地方の県や市町村のお仕事のほとんどは、一度行けば一度限りです。
まれに二度三度と呼んで下さる所もありますが。地方公共団体の公共性から、同じ人は二度とは呼べないのです。だから、一期一会なのです。
今日、駅まで迎えに来て下さった町の職員の方も、楽屋に挨拶に来て下さった町長さんも。演奏させていただいたこのホールも、揺れながら乗った電車も、みんな一期一会。
もう二度と一生会えないかもしれないのです。

そんなことを考えていると、縁というものは不思議で、そして大切な、いとおしいもののように思えてきました。

終演後、福岡に向かう西鉄電車に乗りました。
福岡に着くまでの間、窓の外を流れ行く風景を目に焼き付けるように、見つめていました。
明日は札幌に向かいます。

通弘 http://www.tsugaru-michihiro.com

|

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »